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前科があっても建設業許可は取得できますか?

これから建設業の許可をしたいと考えているが、「前科があると許可の取得できないよ。」と聞いたことがあり諦めていたが、本当に「許可の取得は無理」なのか?といった疑問に今回は解説していきます。

これから、建設業許可を取得する際に必ず必要となる6個の要件の中に「欠格要件に該当しないこと」という要件があります。許可を取得するためには、6個の要件を全て満たす必要があり、他の要件を満たしていても、申請者や役員等と呼ばれる人が、この欠格事由に該当していると許可を取得することが出来ません。

・個人事業主の場合→個人事業主・令3条の使用人(支配人・営業所の所長)

・法人→取締役・執行役・相談役・顧問・5%以上の議決権のある株主・令3条の使用人(支配人・営業所の所長)・取締役と同等以上の支配力が有るもの(役員等)ただし執行役員や監査役などは該当しません。

欠格事由の中には、前科に関する事由もあります。前科には、禁固刑や罰則刑がありますが、申請者や役員等が何かしらの事情で前科が付いている場合は、その刑を終えてから「5年間」経過すると、許可を取得することができます。前科が付いていて、欠格事由に該当する場合は許可を取得することはできません。下記では欠格事由の前科について解説いたします。

禁固以上の刑に科され、その刑の執行の終わりの日、その刑の執行を受けることが無くなった日から5年間を経過していない者
・「禁固以上の刑」
禁固以上の刑とは、死刑・懲役刑・禁固刑のことを指します。個人事業主や役員等の中に、これらの刑を受けて5年間経過していない場合は欠格事由に該当し、許可を取得することはできません。
・「執行猶予の期間」
執行猶予が付いた場合は、執行猶予期間が満了した時点で、刑の言い渡しが無かったことになる為、満了した時点で、欠格事由には該当しません。このため、執行猶予期間が満了して5年間を経過する必要はありません。ただし、執行猶予の期間中は欠格事由に該当します。また執行猶予の場合、期間中に飲酒運転やスピード違反などでも欠格事由に該当することがあるので十分な注意が必要です。
・「仮釈放の場合」
仮釈放は刑期を短縮するものではなく、刑期中に刑務所から出られる制度です。この場合は仮釈放から5年ではなく、刑期を満了してから5年経過しないと、許可の取得はできません。
法律の規定に違反したことにより、罰金の刑に科され、その刑の執行の終わりの日、そこ刑の執行を受けることが無くなった日から5年間を経過していない者。
該当する刑法は、傷害・暴行・脅迫・背任・現場助勢などがあります。
罰金刑の場合、懲役刑とは異なり収監されることがないので、軽く考えてしまう方がいますが、罰金刑も前科となります。前科が付いている場合は、罰金刑を終えてから5年間を経過していないと、欠格事由に該当してしまいます。一番多い事例ですと、暴力事件を起こして罰金刑になるケースです。この場合「罰金を払えば終わり」と考えていますと、欠格事由に該当してしまい、許可を取得する事ができません。申請の際は、正直に申告する必要があります。個人事業主や役員等の中に該当する人物がいないか注意が必要です。

許可を申請する際に、役員等に該当する人は、申請書に「賞罰」を記載する欄があります。この欄に、役員等の人は、過去の犯罪歴等を記入しなければなりません。ここで万が一、嘘の記載をして申請してしまうと、虚偽の申請をしたとして、5年間は許可を取得することができません。また、虚偽の申請は許可行政庁に申請書を提出した際に、必ず発覚します。これは欠格事由に該当しないか、警察等の関係各所に対し、役員等の情報を照会にかけて調査するためです。このような事から、役員等に就任させる人は、5年以上の付き合いのある、信用できる人を選任することが必要です。

大変な思いをして、建設業の許可を取得しても、その後に役員等の人が欠格事由に該当した場合は、許可の取消処分が行われます。例えば、取得後の暴力事件や傷害事件・飲酒運転などで罰金刑を科された場合などです。取消処分が行われると、5年間は再取得できませんので、取得後も十分な注意が必要です。

今回は「前科があっても建設業の許可は取得できますか?」というテーマの解説をいたしました。申請者や、役員等の中に前科が付いている方が在籍していても、その刑を終えてから5年間を経ていれば、許可を取得することは可能です。しかしながら、5年間が経っていない場合は、欠格事由に該当してしまうので注意が必要です。このような事から、役員等に就任させる方は、5年以上の付き合いのある、信頼できる人を選任することが大切です。

建設業許可に関することでお困りの方は、専門家である行政書士にお気軽にご相談ください。

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